文献案内

  1. D. クリスタル『言語学とは何か』現代の教養12 (瀧本二郎訳、南雲堂、1975年)
    • 第一章が「言語学」でないものを取り上げている。少し古いが、いまでも充分に通用する。全体を通して読み通せるもの。
  2. G. ムーナン『言語学とは何か』 (福井芳男、伊藤晃、丸山圭三郎訳、大修館書店、1970年)
    • 序論が特に面白く、ここだけでも読む価値がある。口の悪い人の著作はだいたい面白い。でも、こういう人が絶賛するほうはあまり的を射ていなかったりする。
  3. 千野栄一監修『世界ことばの旅 地球上80言語カタログ』 (研究社、1993年)
    • 80の言語が2枚のCDに収められている。各言語の録音時間は約一分半。意味が分かるかどうかではなく、言語音を具体的に聴いてみるにはいちばんいい。付属の解説書には80の言語についての概説もある。コサ語も聴ける。
  4. 小泉保『音声学入門 改訂版』 (大学書林、2003年)
    • 決してやさしいものではないが、IPAを具体的な音とともに理解する教材はほかにない。音声学に深入りしたい人向け。
  5. 風間喜代三言語学の誕生:比較言語学小史』 (岩波新書69、1978年)
    • インド・ヨーロッパ語族の比較言語学について、この本の内容をしっかりと理解していれば、大学院入試でもまずは大丈夫。コンパクトにまとめてあるがレベルは高い。さっと目を通してわかるようなものではないので、何度も熟読しなければならない。
  6. 徳川宗賢編『日本の方言地図』 (中公新書533、1979年)
    • 新書なのに言語地図が50枚もあるのでお得で見ているだけで楽しい。説明をきちんと理解すれば、日本語の地域方言についてひととおりのことがわかる。
  7. 西岡敏、仲原穣『沖縄語の入門』 (白水社)別売CDあり。
  8. 井上史雄『日本語は生き残れるか』 (PHP新書167、2001年)
    • 言語経済学の考え方の人。本文では批判めいたことも書いたが、井上氏のものはやはり優れている。『日本語ウォッチング』(岩波新書)、『敬語はこわくない』(講談社現代新書)、『日本語の値段』(大修館書店)など、どれも現代日本語を知るためには欠かせないと思う。
  9. R. M. W. ディクソン『言語の興亡』(大角翠訳、岩波新書(新赤版)737、2001年)
    • 著者は現地調査を実践するオーストラリアの言語学者。世界の言語の奥が死滅しつつあることに警鐘を鳴らし、いい加減な言語論を激しく批判する。本当の意味での言語学の基本はここにあると思う。決して読みやすくはないかもしれないが、熟読してほしい。

*はじめての言語学特別案内

  1. 西江雅之『「ことば」の課外授業』 (洋泉社新書y084、2003年)()
    • ことばについて一週間の課外授業をして、それをもとにまとめたもの。著者は、とにかく面白くて、頭がよくて、ユニークな人物。詳しくは本人による半生記『ヒトかサルかと問われても』(読売新聞社)を。
  2. 定延利之『よくわかる言語学』 (日本語教師・分野別マスターシリーズ) (アルク、1999年)

*著者のお気に入り教材

  1. 栗原薫『フィンランド語が面白いほど身につく本』 (中経出版、2002年)
  2. 逸見喜一郎『ラテン語のはなし』 (大修館書店、2000年)
  3. 宇根祥夫『メモ式ベトナム語早わかり CDブック』 (三修社、1997年)
  4. アブディ・ファラジ・レハニ『CDエクスプレス・スワヒリ語』 (白水社、2003年)