松岡正剛『知の編集術:発想・思考を生み出す技法』

知の編集術 (講談社現代新書)講談社現代新書1485、講談社、2000年)

*2006/03/25現在

*感想

  • 松岡正剛の言う「編集」の意味は理解できるし、頷ける部分も多いが、十把一絡げに括りすぎているせいかピンとこない部分もある。当たり前すぎることだからか?
  • 六十四編集技法の一覧を見ても分かるが、分野を広げ(またぎ)視野を広く持とうとするのはいいが、不必要な拡散が起きているように思う。むしろ分野はもう少し絞って、その中のより詳細な部分を極めて書き出した方が、読み手にとっても分かりやすいのでは?
  • 編集「術」と銘打ってはいるものの、「ハウツー」の意味での「術」というより、自らルールを見つけるための知的ゲームといった方がいいか。
  • テストやクイズの部分は、いつもと違う視点を持てて楽しい。
  • ファンであればこの本は意義があるかもしれないが、同じ時間をかけるなら、松岡正剛のほかの本を読む方がよいと思う。
  • 洒落っ気がる(なんて言葉があるか知らないが)ような言葉の運びがそこここに見られる。
  • 自身のスピーディーな思考をそのまま取り出したような文章。文の流れに若干飛躍がある。エッセイ風味。

*要点

  1. 編集は「文化」と「文脈」をたいせつにする。
  2. 編集はつねに「情報の様子」に目をつける。
  3. 編集は日々の会話のように「相互共振」する。
      • 文脈:出来事・状況に流れている情報的な脈絡すべて。

*カイヨワ『遊びと人間』

  • 遊びの四分類
  1. アゴーン:競争遊び。敵対関係。
  2. アレア:運と戯れる。ラテン語のサイコロ遊び。
  3. ミミクリー:真似。模倣。転写。
  4. イリンクス:めまい。痙攣。トランス状態。踊り。熱狂。瞑想。
      • →パイディア性(興奮)とルドゥス性(困難)

*略図的原型

  • ステレオタイプ(典型性):特定の何かや誰かに代表される記号性。
  • プロトタイプ(類型性):一般化できる概念の類型。
  • アーキタイプ(原型性):文化や文脈の奥にひそむ共通の特徴。

*編集八段錦

  1. 区別をする(distinction):情報単位の発生
  2. 相互に指し示す(indication):情報の比較検討
  3. 方向をおこす(direction):情報的自他の系列化
  4. 構えをとる(posture):解釈過程の呼び出し
  5. 見当をつける(conjecture):意味単位のネットワーク化
  6. 適当と妥当(relevance):編集的対称性の発見
  7. 含意を導入する(metaphor):対称性の動揺と新しい文脈の獲得
  8. 語り手を突出させる(evocate):自己編集性の発動へ

*読んでみたい本