FALIS DEUX『絵でわかる現代思想』
*2005/05/21現在
- 20世紀の思想を中心に、哲学の流れをわかりやすく解説した本。
- 身近な例を引き合いに出しながら、なぜその思想が生まれたのか、何を乗り越える必要があったのか、どんなところがポイントでその後どんなふうに受容されていったのかを、やさしい言葉で綴っている。
- 豆知識のような形で「現代」より過去の思想についても説明している。
- 見開きの半分をラフな絵に使っているわりに、丁寧に読めばかなりの情報量がある。
- ただしこれはあくまでも入門書として使うべきもの。というのも、扱っている範囲が広いために、ここで取り上げられている思想はある思想家の一断面でしかないからだ。
- わかりやすさは高く評価できる反面、これをそのまま鵜呑みにしてしまうととても偏った印象を持つことになるだろう。
- それぞれの思想家や思想の解説の中で出てくる文献はどれも核となるド真ん中の原典ばかりなので、これを出発点にそれぞれの思想に深入りしようとしても戸惑うかもしれない。なので巻末の参考文献に上がっている書物からさらに解説的な本に当たっていくのがよいだろう。
- つまりこれ一冊では、「入門」だと考えてもステップとしては浅いということ。別の概説書・解説書の併読本・副本として使うことをおすすめする。