小田敏弘『本当の算数力』

本当の算数力 : できる子供は知っている 日本実業出版社、2010年7月
★一言感想メモ

  • 本書に書かれていることは、論文を書く場合にも仕事などでプロジェクトを進める場合にも政策を立てる場合にも相通ずることだと思った。
  • そのうえ、算数っていうのはいい科目なんだなと思わせてくれる。親、教師、教育委員会、生徒、学生、社会人、官僚、さまざまな立場にある人に「取り組み」のスタート地点を見せてくれるだろう良書。

★以下、抜き書きメモ。(ページ数はメモし忘れた。)

  • 「学校で学んだことを一切忘れてしまったときに、なお残っているもの、それこそ教育だ。」アインシュタイン
  • 成果を出すために必要なことはだいたい同じで、その気になれば人生に大切なものは何からでも学べる。
  • 問題を「解く」力は、子供がどんな社会に出て行くことになっても役に立ちます。社会に出てどんな問題に直面しても、それを自分で「解く」力さえあれば、乗り越えてなんとか生きていけるのですから。
  • 抽象化するということは、本質的なことと本質的ではないことを区別できるということです。数学的にいうと一つの定理の重要な仮定と重要でない仮定を区別できるということです。たとえば顧客の注文を正しく検討して、本質と本質でないものを区別する人がいなければなりません。会社が何を提供できるか、どの費用で問題を解決するかを知っている人がいなければなりません。数学をやった人が求められるのはまさにこんな仕事です。
  • フラストレーションに対する抵抗力も必要だね。君が2週間かけても問題が解けないとき、悲しく途方に暮れるかな。でもそうなっちゃいけないんで、その問題がやりがいのある問題だと理解するべきなんだ。社長はこのことのために君に給料をくれるんだよ。
●次元の感覚
点の集まりが線であり、線の集まりが面であり、面の集まりが立体である。
●極限の感覚
あるものに限りなく近いものを考えると、その近づけたものは「あるもの」と同じものと扱うこともできる。
●適切な場合分け
    1. 想定されていない「場合」がないこと。
    2. 想定された「場合」同士で重なっていないこと。
●消去法
    1. 絶対にあり得ないこと以外は、起こりうるとして考えなければならない。
    2. やると決めたことは徹底的にやる。
●推測する
手の届く範囲の世界で得たデータを根拠に論理を積み上げ、人間の手の届かない世界の様子を知る(目に見えない小さな世界、はるか遠い宇宙の世界、時間的な遠さという意味で過去や未来)
●実験
「実験する→規則を見つける→理論を考える」で1セット。
●応用力
一見共通点がなさそうなもの同士に共通点を見つけ出そうとする、似ている部分と違う部分を見つける、違いを調節する。
  • 問題は、簡単に飽きられないように適度に難しく、でも難しすぎてクリアを諦められても困るから適度にヒントをばら撒いてクリアできるように誘導もしている。
  • 100番目、200まで、などの言葉は「規則を見つけなさい」という意味。
  • 大切なのは、問題文に応じて適切な整理方法をそのつど考えること。
  • 間違う確率の低いやり方を考える。
  • うろ覚えの公式でも、公式にいくつか数値をあてはめてみて、計算が合うかを確認し直して使えば、間違ったままに進むことなく巻き戻れる。
  • 検算は、問題に数値をあてはめて計算すれば問題で与えられた条件を数値が満たすか確かめられる。
  • 見直しは、問題を同じ解き方で解きなおすことではなく、違う方面から確認すること。
  • 答案は人に見せるもの、見てもらえるようていねいにわかりやすく書く。

―――手順―――<1>問題文を読む ←解くため<2>情報を整理する+<1>+<4>+<6> ←整理しないと問題文の大事な情報を忘れてしまう<3>解き方を組み立てる+<1>+<4>+<6> ←大事な情報は問題文にある、勝手に頭の中で補わない<4>式で表す+<1>+<6> ←複雑な状況ほど、日本語をまぜて意味を成す式で表すようにする
―――<5>計算する+<6> ←集中して途中で間違うことなく計算する
―――<6>確認する<7>答えを示す
―――ツール―――

    1. 情報と情報の関連性を考えること、何と何の情報をどう組み合わせれば何の情報が出てくるか。
    2. その方法を使うために必要な情報は何か。
    3. その方法を使うと何の情報が出てくるか。
    4. その方法ではどういう作業が求められるか。
    5. その方法はどういう条件のときに使えるか。