ジャック・デリダ『アーカイヴの病』

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ジャック・デリダ『アーカイヴの病 : フロイトの印象』福本修 訳、法政大学出版局、2010年11月 (叢書・ウニベルシタス ; 947)

★反省メモ

  • 会誌の先輩から参考文献として示されて読んだ。
  • 日本語にしてくれているのに理解できなかったし、もう一度読んでも理解できないと思う本。意味が頭に入ってこなかった。
  • 著者名とタイトルで検索すれば職場の先輩がいろいろ考察されたブログ記事がさくっと見つかるけれど、私はそこに書かれていることも、なぜそのように読めるのかも、さっぱり理解できなかった。全然だめだ、わからない。こういうのを読む頭が私にはないのだろうと思う。
  • 何を言っているのか、これは何の話なのか、というのが理解できず、何度も挫折しそうになった。読み取ることはおそらくできていない。とにかく理解できなさに耐えてひたすらページをめくったという感じ。
  • 字面を追って、これはなんのことだろう、と思ったことを追いかけながら読んで、これのことだったか、と思ったあとで、いやなんだか違うようだ、と気づいて戻り、しかし最後まで答えらしきものは見えず、もやもやしたまま終わった、気がする。
  • デリダの「アーカイヴ」と「アーカイヴの病」と「欲望」と「暴力」が指しているものは何か?を考えながら読んだけれど、ハテナが増えるばかりで、けっきょくよくわからなかった。
  • さらにこの本のわからなさはフロイトのわからなさ(私がフロイトを全然理解できないこと)も関係している気がする。フロイトを出さないでほしい。フロイトが出てくる部分はどうにもこじつけに思えてハテナが増えるばかり。でも副題にあるくらいだから諦めるしかないなと思ってページをめくった。つらかった。
  • そもそもメモを取りつつ読み終えたのが7月終わりごろで、そのあと放置しすぎてもはや読んだ中身の記憶がない。さっさと感想をメモしておくべきだった。とはいえこのままにするのも、ということで以下はメモだけ取り出しておいた、という記録。


★メモ

  • pp.133-134: 未来はー記録媒体や現実態の有無にかかわらずーアーカイヴ化された出来事から、例えば神の命令からあるいはメシア的契約から考えられるのか、あるいはまた逆に、或る経験、或る実在一般は、この実在と時間化の構造がこのアーカイヴ化を可能にするというただその限りで、そのような出来事を受け取り、記録し、アーカイヴ化することができるのか、ということである。言い換えれば、原初のアーカイヴ化可能性を考えるためには、最初の一つのアーカイヴが必要なのか、あるいはその逆なのか、ということである。
    • →未来は、アーカイヴされた「コト」から考えられるのか、あるいは逆に、実在するものごとがアーカイヴを可能にするのか、という、にわとりたまごの問い?
  • p.141: アーカイヴの欲望(……)は、真正で特異な起源への回帰、回帰の欲望つまりは自分自身を更に説明しようと気にかける回帰の、苦痛に満ちた欲望である。
    • →起源(オリジン)が自分自身を説明するものとなる。説明するものを保存したい、という欲望。その欲望は苦痛に満ちている、と。苦痛ということは、保存したくない気持ちもある、ということでよいのか?
  • pp.149-150: アーカイヴについてのフロイトの言説は(……)概念(……)は、二つの矛盾する形を取る。これが、アーカイヴの病とわれわれが言う理由であり(……)フロイトのあらゆる著作の中に、この矛盾の跡を見出すことができるはずである。このような矛盾は、否定的なものではなく、アーカイヴの概念および概念一般の形成自体をーーそれらが矛盾を抱えているまさにそのところでーー際立たせ、条件づけているのである。
    • →「アーカイヴの病」っていうのは、矛盾のこと?
  • (pp.156-157)(フロイトによれば)アーカイヴは、死の、攻撃性の、破壊の欲動によって(……)可能とされる。しかし限界としての有限性の向こうには、(……)根本的な破壊のあの運動がある。それがなければ、いかなるアーカイヴの欲望も病も生じないであろう。
    • →アーカイヴすることの限界、アーカイヴされたものの破壊、が、あるから、アーカイヴの欲望やアーカイヴの病が生じる、ということ?めちゃくちゃ単純に言ったら、なくなってしまうものだからとっておきたい、ということ?それでいいなら分かる気がするけれども。
  • pp.166-168: 人は、彼が知る欲望、知らせる欲望そして彼がいつまでも隠していた当のものをアーカイヴ化する欲望に燃え立ちながら、秘密への無条件の権利について何を守りえたのだろうかを自問することだろう。自らを隠す(隠れる)ものについて、あるいは、隠したり嘘をついたり偽証したりする意図の更に彼方に、彼が隠したものについて。人はつねに、彼がこのアーカイヴの病において、何を燃やしえたのだろうかを自問することだろう。人はつねに、誰がこのアーカイヴの病を共苦のうちで分かちあいつつ、彼の秘密の情念、彼の書簡、彼の「人生」から、何が燃え立ちえたのかを自問することだろう。彼なしで、残余なしで、知ることなしで、燃え立つこと。
    • →知る欲望、知らせる欲望、アーカイヴ化する欲望、は、ここでは同義なのか?隠したいもの、知らせたくないもの、秘密のこと、がありながら、アーカイヴ化したいという欲望がある、ということ?
  • pp.174-175 訳者あとがき: テクストの”理想郷”は、あくまで原典を集めてアーカイヴへの汚染と干渉を排除することで達成されないのだろうか。しかしそこには、汚染と干渉を不可避にして理想郷の達成を不可能とする、より内在的で本質的な障害がある。(…アーカイヴの)創設には根源的な暴力性が、そして正統な起源への欲望が伴っている。
    • →全部集められればよいけど(=欲望)そうもいかない(=暴力)ということでよいの?そんな単純な話だったの?それなら会誌の先輩が教えてくれた「ELIS 3rd ed.の関連論文」のほうがずっと分かりやすかったし、あれで十分だったのではないかという気がしてきた。
  • p.176 訳者あとがき: 源泉はどこかに遡られるだろうという思考は、今や「アーカイヴの病」として解釈される。
    • →???またわからなくなった。。。